1日目 朝

6時30分

目覚まし時計は平日でも

休みでも同じようになる。

幸いそれを不快に思ったことはなく

感謝の念とともに

ベッドから体をおこす。

多くの人が布団からでたくないと

思うような寒さの朝でも

その気持ちは変わらない。

職場に向けて家をでるのは

8時30分

実に2時間もの時間がある。

パソコンの電源をいれて

電気ケトルのスイッチをオンにする。

それぞれがそれぞれの役割を果たす準備が

できるのはほぼ同じタイミング。

当然コーヒーを入れるのが先になるが

今日は特にその気持ちが強い。

なぜならいつも以上に眠気が残っているからだ。

昨晩、珍しく夜更かしをした。

するつもりはなかったが気づいたらそんな時間に

なっていた。

TAリストの作成に没頭してしまったからだ。

トータルアビリティー。

地方競馬の馬達を総合的に評価して

その能力をリスト化しようという

自己満足の代物だ。

だが、競馬はやはり奥が深く魅力にあふれていた。

馬柱はまさに一つの世界であった。

着順は騎手の笑顔もしくは落胆の映像とともに浮かび上がり

あがり3ハロンは馬の蹄の音ともに鳴り響いた。

距離の数字の羅列は単なる羅列ではなく

馬の息遣いとともに迫ってきた。

位置取りの1-1-1-1からは

ゲートともに飛び出して

気持ちよく先頭を走る馬が目に浮かんだ。

あらゆるものが映像として浮かび上がり

美しさとして我が眼前に現れた。

それを統合し、一つの馬の姿を描き出す。

その作業が魅力的なものでないはずがない。

コーヒーを飲みながら

昨日の作業の結果を振り返る。

「結構頑張ったつもりだったが、まだまだだな」

声に出してつぶやいた。

一晩かけてできたのは

まずは「足の速さ」だと手をつけた

タイム指数。これだけだったのだ。

 

-続く-

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